神保町にある職人気質のとんかつ屋では、3人の職人がカウンターの中にいる。
1人目が豚肉をたまごに浸し、パン粉をつけて、油の鍋にそのパン粉がついた豚肉をいれる。
豚肉が揚がるまでの間、彼は千切りにしたキャベツを大きなざるから、一人分にわける作業をする。
それが終わると、まだ豚肉が揚がっていないために、さきほど豚肉をつけたパン粉の容器から、だまになったパン粉を取り出すために、指ですくって取り出し、横によける。
その間にもお客さんがのれんをくぐって入ってくるので、いつもの調子で
「とんかつですか?」
とぶっきらぼうに聞く。
そんなこんなで、豚肉がとんかつに変わったタイミングで、とんかつを油の鍋から引き出す。
それをまな板の上にのせ、「さく、さく、さく」と包丁で切っていく。
その包丁さばきは、とくに力を入れるわけでもなく、
上からすっとまな板まで力がとおる感じである。
包丁はよく研がれているものだ。
きっと、毎日、仕事終わりに研がれているものだろう。
切ったとんかつはをキャベツがのったお皿に載せて、順番にお客さんへだす。
そしたら彼の作業は終わりである。
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